「四季の音(ね)」

鈴の音の奥 花うたう街
春の木漏れ日に微笑むような空の下
サクラ咲く季節を見届けたくて足を止める

美しい文化を受け継ぐ
舞い手のたおやかな手の温度
指先さえ艶やかな蝶のよう

多国では味わえない
甘い香り立つ茶屋で
この地の歴史に思いを馳せる

夏の竹林に降る優しい雨の音
秋の山に 赤にも 金にも 煌めく葉の波
冬の道で 白にも 銀にも 揺らめく雪の名

その景色は一度きりの逢瀬のよう
胸に焼き付いて
鮮やかな色を残す

また来るよ、などと約束など出来ない旅の身で
再会を恋願う

それほど清らかで
それほど名残惜しい

唯一の場所だったよ


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